健康運動指導士は、安全で効果的な運動指導を行うだけでなく、万が一の事故や急病が発生した際に適切な対応を行うことが求められます。
運動施設やスポーツ現場では、
- 心停止
- 意識消失
- 熱中症
- 外傷
- 窒息
などの緊急事態が発生する可能性があります。
第10章では、こうした場面で命を救うための救急蘇生法について学びます。
特に、
- 一次救命処置(BLS)
- 心肺蘇生法(CPR)
- AED
は健康運動指導士試験の頻出分野です。
- 1 救急蘇生法とは
- 2 心停止とは
- 3 一次救命処置(BLS)
- 4 安全確認
- 5 反応確認
- 6 119番通報
- 7 呼吸確認
- 8 胸骨圧迫(心臓マッサージ)
- 9 人工呼吸
- 10 AEDとは
- 11 AEDの使用手順
- 12 小児への対応
- 13 気道異物による窒息
- 14 救急処置で最も大切なこと
- 15 試験直前チェック
- 16 第10章前編まとめ
- 17
- 18 外科的応急処置とは
- 19 RICE処置とは
- 20 Rest(安静)
- 21 Icing(冷却)
- 22 Compression(圧迫)
- 23 Elevation(挙上)
- 24 骨折
- 25 捻挫
- 26 脱臼
- 27 打撲
- 28 肉離れ(筋損傷)
- 29 アキレス腱断裂
- 30 創傷(きず)
- 31 頭部外傷
- 32 ショック
- 33 ファーストエイドの基本
- 34 試験直前チェック
- 35 第10章まとめ
【図解】第10章 応急処置のスライド
※「救命の連鎖」「BLSアルゴリズム」「AED使用手順」の図解スライド
Skip to PDF content救急蘇生法とは
救急蘇生法とは、
心停止や呼吸停止など生命の危機的状態に対して行う応急処置
です。
救命の連鎖(Chain of Survival)
救命率を高めるためには
「救命の連鎖」
が重要です。
主な流れは
① 心停止の早期認識
② 119番通報
③ 一次救命処置(BLS)
④ AEDによる除細動
⑤ 二次救命処置
となります。
どれか一つでも遅れると救命率は低下します。
心停止とは
心停止の定義
心臓が血液を送り出せなくなった状態です。
心停止になると、
脳への血流も停止するため数分で生命の危険に陥ります。
心停止のサイン
- 意識がない
- 普段どおりの呼吸がない
- 反応がない
これらが確認された場合は心停止を疑います。
1分ごとに救命率は低下する
心停止後、
救命処置が行われない場合、
救命率は1分ごとに低下します。
そのため迅速な対応が最も重要です。
一次救命処置(BLS)
BLSとは
Basic Life Support
の略です。
特別な器具を用いずに行う救命処置を指します。
BLSの手順
① 安全確認
② 反応確認
③ 応援要請
④ 119番通報
⑤ AED依頼
⑥ 呼吸確認
⑦ 胸骨圧迫開始
という流れになります。
安全確認
傷病者に近づく前に
- 車両
- 落下物
- 感電
などの危険がないか確認します。
救助者自身の安全確保が最優先です。
反応確認
肩を軽く叩きながら
「大丈夫ですか?」
と声をかけます。
反応がない場合は周囲へ協力を求めます。
119番通報
周囲に人がいる場合は、
特定の人を指名して依頼します。
例
「あなた、119番通報をお願いします」
「あなた、AEDを持ってきてください」
と具体的に依頼します。
呼吸確認
胸や腹部の動きを確認します。
10秒以内で判断し、
正常な呼吸が確認できなければ胸骨圧迫を開始します。
胸骨圧迫(心臓マッサージ)
胸骨圧迫の目的
胸骨を圧迫して血液循環を維持します。
心停止後の脳や心臓への血流確保が目的です。
圧迫部位
胸骨下半分
胸の中央部分です。
圧迫の深さ
成人では
約5cm
沈む程度に圧迫します。
圧迫速度
1分間に100〜120回
が推奨されています。
試験頻出事項です。
中断を最小限にする
胸骨圧迫は救命率に直結します。
できるだけ中断せず継続することが重要です。
人工呼吸
人工呼吸の役割
肺へ酸素を送り込みます。
現在の考え方
一般市民による救助では、
人工呼吸が難しい場合、
胸骨圧迫のみでもよい
とされています。
胸骨圧迫と人工呼吸
実施する場合は
30回圧迫
↓
人工呼吸2回
を繰り返します。
AEDとは
AEDの正式名称
Automated External Defibrillator
自動体外式除細動器
です。
AEDの目的
心室細動などの不整脈を停止させるために電気ショックを与えます。
AEDの重要性
心室細動に対して最も有効な治療法です。
AEDが早期に使用されるほど救命率は高くなります。
AEDの使用手順
① 電源を入れる
② 音声指示に従う
③ 電極パッドを貼る
④ 心電図解析
⑤ 必要時ショック実施
⑥ 胸骨圧迫再開
となります。
小児への対応
小児の定義
おおむね1歳以上〜思春期前
を指します。
小児用AED
小児用モードや小児パッドがあれば使用します。
ない場合は成人用AEDも使用可能です。
気道異物による窒息
窒息とは
食物などが気道を塞ぐ状態です。
主なサイン
- 苦しそう
- 声が出ない
- 呼吸困難
など
腹部突き上げ法
ハイムリック法とも呼ばれます。
成人の窒息時に実施されます。
背部叩打法
背中を強く叩いて異物排出を促します。
乳児や小児では重要な方法です。
救急処置で最も大切なこと
健康運動指導士試験では、
手技だけではなく
「迅速な判断」
が重視されています。
覚えるべきポイントは
- 安全確認
- 119番通報
- AED要請
- 胸骨圧迫
- AED使用
です。
試験直前チェック
✓ 救命の連鎖
✓ 一次救命処置(BLS)
✓ 心停止
✓ 胸骨圧迫
✓ 100〜120回/分
✓ 約5cm
✓ AED
✓ 除細動
✓ 人工呼吸
✓ 30:2
✓ 小児用AED
✓ 窒息
✓ ハイムリック法
✓ 背部叩打法
第10章前編まとめ
第10章前編では、
救急蘇生法の基本について学びました。
運動指導現場では、
事故が起きないことが理想ですが、
万が一の場面で適切な対応ができるかどうかで救命率は大きく変わります。
特に試験では、
- 救命の連鎖
- BLS
- CPR
- AED
- 胸骨圧迫の深さと回数
が頻出です。
確実に理解しておきましょう。
【図解】第10章 応急処置のスライド
※「救命の連鎖」「BLSアルゴリズム」「AED使用手順」の図解スライド
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前編では、
- 救命の連鎖
- 一次救命処置(BLS)
- 心肺蘇生法(CPR)
- AED
について学びました。
後編では、
- 骨折
- 脱臼
- 捻挫
- 肉離れ
- 頭部外傷
- ショック
- RICE処置
など、スポーツ現場で発生する外科的応急処置について解説します。
外科的応急処置とは
外科的応急処置とは、
骨・関節・筋肉・靭帯などに発生した外傷に対して行う初期対応
を指します。
スポーツ現場では医師がすぐに対応できない場合も多く、健康運動指導士には適切な初期対応が求められます。
RICE処置とは
スポーツ外傷の基本となる応急処置です。
RICEとは、
- Rest(安静)
- Icing(冷却)
- Compression(圧迫)
- Elevation(挙上)
の頭文字を取ったものです。
試験では最頻出事項の一つです。
Rest(安静)
安静の目的
損傷部位の二次的損傷を防ぐことです。
受傷直後に無理に動かすと、
- 出血増加
- 腫脹増大
- 症状悪化
につながります。
Icing(冷却)
冷却の目的
患部を冷却することで
- 出血抑制
- 炎症抑制
- 疼痛軽減
が期待できます。
冷却方法
氷をビニール袋へ入れて患部へ当てます。
一般的には
20分冷却
↓
2〜4時間休止
を繰り返します。
注意点
長時間の冷却は
- 凍傷
- 組織障害
の原因になります。
Compression(圧迫)
圧迫の目的
出血や腫脹を抑えることです。
弾性包帯などを用いて圧迫します。
注意点
強く巻きすぎると
- 血流障害
- 神経障害
を起こすことがあります。
末梢循環を確認することが重要です。
Elevation(挙上)
挙上の目的
患部を心臓より高くして腫脹を軽減します。
方法
クッションや椅子を利用し、
患部を高く保持します。
特に足関節捻挫でよく用いられます。
骨折
骨折とは
骨の連続性が失われた状態です。
骨折の主な症状
- 強い疼痛
- 腫脹
- 変形
- 異常可動性
などがあります。
開放骨折と閉鎖骨折
開放骨折
骨が皮膚を突き破った状態
閉鎖骨折
皮膚損傷を伴わない骨折
開放骨折は感染リスクが高く緊急対応が必要です。
応急処置
- 患部固定
- 安静保持
- 医療機関受診
が基本です。
無理に整復してはいけません。
捻挫
捻挫とは
関節に過度の力が加わり、
靭帯や関節包が損傷した状態です。
発生しやすい部位
- 足関節
- 膝関節
- 手関節
など
特に足関節捻挫は最も頻度の高いスポーツ外傷です。
重症度
Ⅰ度
軽度損傷
Ⅱ度
部分断裂
Ⅲ度
完全断裂
試験頻出事項です。
応急処置
基本はRICE処置です。
脱臼
脱臼とは
関節を構成する骨同士の位置関係が完全にずれた状態です。
好発部位
最も多いのは
肩関節脱臼
です。
ラグビーや柔道などの接触スポーツで発生しやすくなります。
主な症状
- 強い痛み
- 変形
- 関節運動不能
応急処置
無理に整復せず、
固定して医療機関へ搬送します。
打撲
打撲とは
外力が加わり皮膚の損傷を伴わずに組織が損傷した状態です。
症状
- 腫脹
- 圧痛
- 内出血
など
応急処置
RICE処置を行います。
肉離れ(筋損傷)
肉離れとは
筋肉が急激に引き伸ばされて損傷した状態です。
好発部位
- ハムストリングス
- 大腿四頭筋
- 腓腹筋
が代表的です。
主な症状
- 突然の激痛
- 内出血
- 筋力低下
など
応急処置
まずRICE処置を実施します。
早期対応が回復期間を左右します。
アキレス腱断裂
発生状況
中高年スポーツ愛好家に多くみられます。
特徴的な訴え
「後ろから蹴られたような感じ」
と表現されることがあります。
症状
- 歩行困難
- つま先立ち不能
- 強い疼痛
創傷(きず)
創傷の種類
- 擦過創
- 切創
- 刺創
- 裂創
などがあります。
基本対応
- 洗浄
- 止血
- 感染予防
が重要です。
頭部外傷
なぜ危険なのか
頭部外傷は生命に関わる重大事故です。
危険な症状
- 意識障害
- 頭痛
- 嘔吐
- 記憶障害
- けいれん
など
頭部外傷10か条
スポーツ現場では、
軽症に見えても慎重な観察が必要です。
特に
- 意識状態
- 頭痛の増悪
- 嘔吐
がある場合は速やかな受診が必要です。
ショック
ショックとは
全身の血流が不足し、
重要臓器へ十分な酸素が供給されない状態です。
主な症状
- 顔面蒼白
- 冷汗
- 頻脈
- 血圧低下
など
応急処置
- 安静
- 保温
- 救急要請
を行います。
ファーストエイドの基本
スポーツ現場では
「治療」
ではなく
「悪化させない」
ことが重要です。
判断に迷った場合は、
速やかに医療機関へつなぐことが基本となります。
試験直前チェック
✓ RICE処置
✓ Rest
✓ Icing
✓ Compression
✓ Elevation
✓ 骨折
✓ 開放骨折
✓ 閉鎖骨折
✓ 捻挫Ⅰ度〜Ⅲ度
✓ 肩関節脱臼
✓ 打撲
✓ 肉離れ
✓ ハムストリングス
✓ アキレス腱断裂
✓ 頭部外傷
✓ ショック
第10章まとめ
第10章では、
救急蘇生法から外科的応急処置まで、
健康運動指導士として必要な救急対応を学びました。
運動指導者に求められるのは、
「診断すること」
ではなく、
「適切な初期対応を行い、悪化を防ぎ、必要に応じて医療へつなぐこと」
です。
試験では、
- BLS
- AED
- CPR
- RICE処置
- 骨折
- 捻挫
- 脱臼
- 頭部外傷
が頻出ですので重点的に復習しましょう。
【図解】第10章 応急処置のスライド
※「救命の連鎖」「BLSアルゴリズム」「AED使用手順」の図解スライド
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