第6章では、健康づくりのための運動プログラムをどのように設計するかを学びます。
健康運動指導士試験では、
- 運動強度
- トレーニングの原理・原則
- レジスタンストレーニング
- 筋パワー
- 筋持久力
が頻出分野です。
本記事では前編として、健康づくり運動の基礎となるトレーニング理論について解説します。
1. 運動条件と適応・運動強度
健康づくり運動とは
健康づくり運動とは、
体力向上
疾病予防
生活習慣病予防
QOL向上
を目的として実施される身体活動です。
トレーニングの三原理
健康運動指導士試験では頻出です。
過負荷の原理
現在の能力より高い刺激を与えることで適応が起こる
可逆性の原理
トレーニングを中止すると効果は失われる
特異性の原理
行った運動に応じた効果が現れる
ランニングを続ければ持久力が向上し、
筋力トレーニングを行えば筋力が向上します。
トレーニングの五原則
全面性
体力を総合的に高める
個別性
個人に応じて処方する
意識性
目的を理解して行う
漸進性
徐々に負荷を高める
反復性
継続することで効果が現れる
試験では三原理と五原則の組み合わせがよく出題されます。
運動強度の指標
%VO₂max
最大酸素摂取量に対する割合
%HRmax
最大心拍数に対する割合
%HRreserve
カルボーネン法で用いられる
RPE
主観的運動強度
METs
身体活動の強度を示す単位
安静時=1METs
速歩=約4METs
ジョギング=約7METs
となります。
運動後の超回復
運動
↓
疲労
↓
回復
↓
元のレベル以上へ向上
この現象を超回復と呼びます。
トレーニング計画作成の基本です。
2. 筋力と筋量を増強するための運動条件
レジスタンストレーニングとは
筋肉へ抵抗を加えて行うトレーニングです。
代表例
- マシントレーニング
- ダンベル
- バーベル
- 自重運動
近年では高齢者の介護予防にも広く活用されています。
筋肥大の仕組み
筋肥大には主に
メカニカルストレス
筋への物理的刺激
代謝ストレス
乳酸など代謝産物の蓄積
が関与します。
筋肥大を促進する要因
トレーニングによって
- 成長ホルモン
- テストステロン
- IGF-1
などが関与し、
タンパク質合成が促進されます。
筋肥大に適した負荷
一般的には
70~80%1RM
8~12回
2~4セット
が推奨されます。
1RMとは
1回だけ挙上できる最大重量
です。
レジスタンストレーニングでは重要な基準となります。
レジスタンストレーニングの種類
等尺性収縮
関節角度が変化しない
例
プランク
等張性収縮
筋長が変化する
例
ダンベル運動
等速性収縮
一定速度で行う
専用機器で実施
SSCトレーニング
伸張-短縮サイクル
ジャンプ動作などで利用されます。
高齢者の筋力トレーニング
加齢によりサルコペニアが進行します。
そのため、
- 下肢筋力維持
- 転倒予防
- ADL向上
を目的とした筋力トレーニングが重要です。
3. 筋パワーと筋持久力
筋パワーとは
筋力 × 速度
によって決まる能力です。
力-速度関係
筋収縮速度が速くなるほど発揮できる力は低下します。
一方、
パワーは中程度の負荷で最大となります。
筋パワーを高める方法
中程度の負荷
30~60%1RM程度
高速度で挙上
爆発的動作
SSC活用
ジャンプトレーニング
などが効果的です。
筋線維タイプとの関係
FT線維(速筋)
- 高出力
- 高パワー
- 疲れやすい
ST線維(遅筋)
- 持久性に優れる
- 疲労しにくい
筋パワーにはFT線維が大きく関与します。
筋持久力とは
長時間にわたり筋活動を維持する能力です。
筋持久力向上の条件
低~中強度
高回数
短い休息
が基本となります。
筋持久力向上による効果
- 毛細血管増加
- ミトコンドリア増加
- 酸化酵素活性向上
などが起こります。
試験直前チェック
✓ 三原理
✓ 五原則
✓ 特異性
✓ 過負荷
✓ 可逆性
✓ METs
✓ RPE
✓ 超回復
✓ 1RM
✓ レジスタンストレーニング
✓ 筋肥大
✓ メカニカルストレス
✓ 代謝ストレス
✓ 筋パワー
✓ FT線維
✓ ST線維
✓ 筋持久力
前編まとめ
健康づくり運動を安全かつ効果的に指導するためには、
「どのような強度で」
「どのくらいの頻度で」
「どのような目的で」
実施するのかを理解することが重要です。
第6章前編では、
運動強度
筋力トレーニング
筋肥大
筋パワー
筋持久力
という健康運動指導士試験の中でも頻出の内容を学びました。
【図解】第6章 健康づくり運動の理論のスライド
※第6章全体(運動強度・筋力・有酸素運動・ライフステージ別運動)のまとめスライド
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前編では、
- 運動強度
- トレーニングの原理・原則
- 筋力トレーニング
- 筋パワー
- 筋持久力
について学びました。
後編では、
- 全身持久力を高める有酸素運動
- 障がい者の運動指導
- 青少年期の運動
- 女性の運動
- 高齢者の運動
について解説します。
健康運動指導士試験では、ライフステージや対象者に応じた運動指導が頻繁に出題されるため重要な分野です。
4. 全身持久力を高めるための有酸素運動
有酸素運動とは
有酸素運動とは、
酸素を利用してエネルギーを産生しながら継続する運動
をいいます。
代表例
- ウォーキング
- ジョギング
- サイクリング
- 水泳
- エアロビクス
などです。
エネルギー供給機構
筋活動に必要なエネルギーはATPによって供給されます。
ATPが分解されるとエネルギーが発生し、
再合成するために
- 有酸素性エネルギー供給機構
- 無酸素性エネルギー供給機構
が働きます。
最大酸素摂取量(VO₂max)
有酸素能力を評価する最重要指標です。
VO₂maxとは、
1分間に体内へ取り込める酸素量の最大値
を表します。
VO₂maxが高い人ほど持久力に優れています。
有酸素運動と無酸素運動
有酸素運動
- 低~中強度
- 長時間継続可能
- 脂肪利用が多い
無酸素運動
- 高強度
- 短時間
- 糖質利用が中心
運動時間や強度によって利用されるエネルギー供給系が異なります。
有酸素運動の効果
継続的な有酸素運動によって
- 心肺機能向上
- 最大酸素摂取量向上
- 血圧改善
- 脂質代謝改善
- インスリン感受性向上
- 体脂肪減少
などが期待できます。
有酸素運動の運動処方
一般的には
運動強度
40~70%VO₂max
頻度
週3~5回
時間
20~60分
程度が推奨されます。
5. 障がい者の運動能力の特徴と運動
障がい者スポーツの意義
運動は障がいの有無にかかわらず重要です。
障がい者においても、
- 健康維持
- 体力向上
- QOL向上
- 社会参加促進
などの効果があります。
障がいの分類
大きく
身体障がい
- 脊髄損傷
- 脳性麻痺
- 切断
など
知的障がい
知的機能の障がい
精神障がい
精神機能の障がい
に分類されます。
運動指導のポイント
運動指導では、
まずメディカルチェックを行い、
安全性を確認することが重要です。
身体障がい者への配慮
- 麻痺の程度
- 関節可動域
- バランス能力
- 補装具の使用
を考慮します。
知的障がい者への配慮
- 短く分かりやすい説明
- 視覚的指導
- 成功体験の積み重ね
が重要です。
運動の効果
継続的な運動により
- 体力向上
- 心肺機能向上
- 自己効力感向上
などが期待されます。
6. 青少年期の成長発育と運動
青少年期の特徴
青少年期は身体が大きく成長する時期です。
特に思春期には
成長スパート
が起こります。
PHV年齢
PHV(Peak Height Velocity)
=身長発育速度ピーク年齢
を意味します。
一般的に
男子:約13歳前後
女子:約11歳前後
とされています。
スキャモンの発育曲線
試験頻出事項です。
一般型
身長・体重など
神経型
神経系
リンパ型
免疫系
生殖型
生殖器官
発育パターンが異なります。
青少年期の運動効果
適切な運動は
- 骨量増加
- 筋力向上
- 協調性向上
- 運動技能向上
を促します。
注意点
成長期は骨端線が存在します。
過度な負荷は
- 疲労骨折
- オスグッド病
- 野球肘
などにつながる可能性があります。
7. 女性の体力・運動能力の特徴と運動
女性の身体的特徴
女性は男性と比較すると
- 筋量が少ない
- 体脂肪率が高い
- 骨格が小さい
という特徴があります。
筋力の特徴
一般的に女性の筋力は
男性の約50~60%程度
とされています。
ただし、
体重あたりで比較すると差は小さくなります。
持久力の特徴
女性は
- ヘモグロビン濃度
- 心拍出量
が男性より低いため、
VO₂maxはやや低い傾向があります。
月経と運動
月経周期によって
- ホルモン分泌
- 体温
- コンディション
が変化します。
そのため運動指導では個人差に配慮する必要があります。
妊娠期の運動
適切な運動は
- 体重管理
- 体力維持
- ストレス軽減
に有効です。
ただし医師との連携が必要です。
閉経後の運動
閉経後は
- 骨粗鬆症
- サルコペニア
- 生活習慣病
リスクが高まります。
そのため
有酸素運動
+
筋力トレーニング
の実施が推奨されます。
8. 加齢に伴う体力の低下と運動
加齢による変化
加齢に伴い
- 筋力
- 持久力
- 柔軟性
- 平衡性
は徐々に低下します。
サルコペニア
加齢による筋肉量・筋力低下
をいいます。
転倒や要介護の大きな要因となります。
試験頻出です。
ロコモティブシンドローム
運動器の障害により
移動機能が低下した状態
です。
健康寿命延伸の観点から重要です。
高齢者の運動効果
適切な運動により
- 筋力向上
- 歩行能力向上
- バランス能力向上
- 転倒予防
- 認知機能改善
などが期待できます。
高齢者に推奨される運動
有酸素運動
- ウォーキング
- 自転車
レジスタンス運動
- スクワット
- 椅子立ち上がり
バランス運動
- 片脚立ち
- 太極拳
柔軟運動
- ストレッチ
を組み合わせることが推奨されます。
フレイル予防
フレイルとは
加齢に伴う虚弱状態
です。
予防には
- 運動
- 栄養
- 社会参加
の3本柱が重要です。
試験直前チェック
✓ VO₂max
✓ 有酸素運動
✓ 無酸素運動
✓ 障がい者スポーツ
✓ 身体障がい
✓ 知的障がい
✓ PHV年齢
✓ スキャモンの発育曲線
✓ 月経周期
✓ 閉経
✓ サルコペニア
✓ ロコモ
✓ フレイル
✓ 健康寿命
第6章まとめ
第6章後編では、
対象者に応じた運動指導の考え方を学びました。
健康運動指導士には、
「誰にでも同じ運動を処方する」
のではなく、
年齢
性別
障がいの有無
体力レベル
に応じて適切な運動を提供する能力が求められます。
特に試験では、
- VO₂max
- PHV年齢
- スキャモンの発育曲線
- 女性の身体的特徴
- サルコペニア
- フレイル
が頻出です。
ここは確実に理解しておきましょう。
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健康運動指導士試験対策問題集では、
・テキスト対応問題
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インプットとアウトプットを繰り返し、合格を目指しましょう。